2025年10月6日、Googleのトップページが「中秋節」を祝う特別なイラストに変わりました。この行事は、日本では「中秋の名月」や「十五夜」として知られていますが、アジアの多くの国や地域では、より深く、豊かな文化的意味を持つ大切な日とされています。

中秋節とは、旧暦の8月15日に祝われる、東アジア発祥の伝統的な収穫祭です。その起源は古く、家族の団らんを重んじる心や、自然への感謝が込められています。

本日はこのGoogleロゴを読み解きながら、中秋節の知られざる歴史や、興味深い風習の数々を、トリビアを交えてご紹介します!

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【Google Doodleの内容は?】

本日のGoogleロゴは、GIFアニメーションで「中秋節」の幻想的な世界を表現しています 。はじめは、温かい光を放つ満月と、祝祭を彩る赤いランタンが描かれています。そしてアニメーションが進むと、満月の中にうさぎのシルエットが優しく浮かび上がります。これは、アジア広域で共有されている「月にはうさぎが住んでいる」という美しい伝説を表現したものです。

このDoodleは、「満月」「ランタン」そして「月のうさぎ」という三つの象徴的なモチーフを通して、家族の団らん、収穫への感謝、そして古くから伝わる物語の世界が一体となった、奥深い中秋節の文化を描き出しているのです。

✅ 中秋節を深く知るための豆知識

  • 月のうさぎは何をしている?:日本ではうさぎは「餅つき」をしていますが、中国の伝説では少し違います。月のうさぎ(玉兎)は、仙女「嫦娥(じょうが)」のそばで、不老不死の薬を杵で搗いているとされています。この物語が、中秋節に神秘的な彩りを添えています。
  • 月餅に隠された革命の伝説:月餅には、元朝の支配に抵抗した人々が、中に隠した密書で反乱の計画を伝えたという伝説があります。このため、月餅は単なる菓子ではなく、自由と勝利の象徴とも見なされることがあります。
  • アヒルの塩漬け卵の謎:伝統的な月餅の中には、しばしばアヒルの卵の塩漬けの黄身が入っています。これは満月を象徴しており、切り分けた時に家族全員に行き渡るように、という願いが込められています。
  • なぜ「中秋」なのか?:旧暦では7月・8月・9月を秋とし、8月15日はちょうど秋の真ん中にあたるため、「中秋」と呼ばれます。この日は空気も澄み、一年で最も月が美しく見えると信じられてきました。
  • アジア各地で祝われる多様な祭り:中国や台湾だけでなく、ベトナムでは子どものための祭りとされ、獅子舞や鯉の形をしたランタンが登場します。韓国では「秋夕(チュソク)」と呼ばれ、先祖の墓参りをするなど、儒教的な側面が強いのが特徴です。

これらの要素は、中秋節が単なる月見ではなく、歴史、伝説、そして家族への想いが織りなす、アジアに根付いた豊かな文化であることを示しています。

知られざるルーツ―収穫儀礼から家族の祝祭へ

中秋節の物語は、3000年以上前の古代中国、商の時代にまで遡ります。当時の人々は、秋の収穫期に月を神聖なものとして崇め、豊作を感謝する儀式を行っていました。これが「月祭り」の始まりです。やがて唐の時代(618年-907年)になると、旧暦8月15日が「中秋節」として定着し、宮廷から庶民へと月を愛でる文化が広がっていきました。

この日、一年で最も明るく丸いとされる月は「家族団らん」の象徴とみなされ、中秋節は「団欒節」とも呼ばれるようになります。遠く離れて暮らす家族もこの日ばかりは故郷に帰り、共に満月を眺め、食卓を囲むことが伝統となりました。

現代に伝わる中秋節の風習

時代が移り、ライフスタイルは変化しましたが、中秋節の根底にある家族を想う気持ちは変わりません。現代における代表的な祝い方を見ていきましょう。

① 月餅で家族の円満を祈る 中秋節に欠かせないのが「月餅(げっぺい)」です。この丸いお菓子は満月を模しており、「家族の円満」や「幸福」を象徴しています。伝統的な小豆餡や蓮の実餡のほか、近年では有名洋菓子ブランドがチョコレートやアイスクリームを使った斬新な月餅を発売するなど、そのバリエーションは年々豊かになっています。家族で均等に切り分けて食べることで、その幸せを分かち合うのが習わしです。

② ランタンを灯し、願いを込める 夜になると、公園や家々に色とりどりのランタンが灯されます。これは中秋節の夜を美しく彩るだけでなく、人々の願いを天に届けるという意味合いも持っています。特に香港のビクトリアパークなどで開催されるランタンフェスティバルは壮観で、多くの観光客を魅了します。

③ 台湾の新しい風物詩「月見バーベキュー」 台湾では、1980年代頃から「中秋節にはバーベキュー」という新しい習慣が定着しました。ある醤油メーカーのCMがきっかけとも言われ、今では家族や友人と集まり、月を見ながら屋外でバーベキューを楽しむのが定番の過ごし方となっています。

<まとめ>世代と国境をつなぐ、年に一度の満月の夜

中秋節は、単に美しい月を眺めるだけの行事ではありません。それは、古代の収穫感謝の儀式に始まり、家族の絆を確認する大切な日として、アジア全域に深く根付いた文化遺産なのです。

月餅を分かち合う家族も、遠く離れて故郷の空を見上げる人も、その心は一つです。大切なのは、年に一度、この満月の夜に家族を想い、収穫の恵みに感謝する心を持つこと。その気持ちが、世代や国境を越えて、私たちの心を豊かにしてくれます。

今年の中秋節、あなたも大切な人と一緒に夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。それはきっと、心温まるひとときになるはずです。 Mid-Autumn Festival 2025 Doodle - Google Doodles 

About the Doodle (Doodleについて )

About the Mid-Autumn Festival 2025

This annual blog celebrates the Mid-Autumn Festival. Also known as the Tết Trung Thu, Chuseok, the Moon Festival, or Duanwu Jie, the public holiday is celebrated in many regions across Asia, including China, Hong Kong, Japan, Taiwan, Vietnam, Singapore, and South Korea. The holiday has been celebrated on the 15th day of the 8th lunar month since the 10th century B.C.E. Historically, people came together under a moonlit sky to offer fruits and cakes on altars, expressing gratitude to the moon for bountiful harvests. While some customs have changed, the spirit of thanksgiving and community remains. Friends and families come together to decorate spaces with colorful lanterns, some of which float across bodies of water. A key tradition is eating mooncakes, sweet or savory treats shaped like the full moon with fillings like lotus seed paste, fruit, or salted egg yolk.


【日本語訳】

この毎年恒例のブログは、中秋節をお祝いするものです。「テト・チュン・トゥ(ベトナム)」、「秋夕(チュソク、韓国)」、「月祭り」、あるいは「端午節」としても知られるこの祝日は、中国、香港、日本、台湾、ベトナム、シンガポール、韓国など、アジアの多くの地域で祝われます。この祝日は、紀元前10世紀以来、旧暦8月15日に祝われてきました。歴史的に、人々は月明かりの下に集まり、祭壇に果物やお菓子を供え、豊かな収穫をもたらしてくれた月への感謝を表しました。いくつかの習慣は変わりましたが、感謝とコミュニティの精神は今も残っています。友人や家族が集まり、色とりどりのランタンで空間を飾り付け、その中には水面を漂うものもあります。重要な伝統は、蓮の実のペースト、果物、または塩漬けの卵黄のような餡が入った、満月の形をした甘いまたは塩味のお菓子である月餅を食べることです。